また、一部の省では最低賃金基準の引き上げ幅を下げている。過去5年間、調整された地域の最低賃金基準の平均引き上げ幅はそれぞれ22.1%、20.1%、17%、14.1%、14.9%で、今年、最低賃金基準引き上げを行った都市の平均引き上げ幅は11%程度だった。

 これまで全国各地域の最低賃金ランキングで上位を占めてきた広東省も、今年と来年の最低賃金基準を「凍結」すると発表した。今年の2月、広東省は供給側構造改革プランで、「最低賃金基準の引き上げ幅を適度に下げ、原則として地元の同期間の都市部労働者の平均賃金の引き上げ幅を超えないものとする」と提案している。

「現在の経済情勢の下、我々の重点は安定成長である。そのため、様々なルートで生産コストを低減することにしている。これも、最低賃金の引き上げ幅が低下する一つの重要な原因である」と朱研究員はメディアに語った。  

 給料の支出は企業コストの大きな構成部分ではあるが、これまでは、「最低賃金基準の引き上げが消費成長につながり、さらにはその好循環によって経済発展も推進できる」という見方があった。それに対し、「この問題について、企業と従業員の利益を対立させてはならない。実は企業と従業員の利益は一体となっている。企業側がその重い負担に耐えられず、倒産にまで至れば、雇用機会も減少してしまうからだ」と朱研究員は指摘する。

 これまで企業の経営にある程度の圧力を与えた賃上げがその速度を落としていることが、今後の中国経済の成長にどのような影響を与えるか。社会インフラや観光、教育などのサービスへの投資を増加し、設備投資をある程度減速して、経済の仕組みを改造することによって経済発展を図るという路線と共に、先行きは不透明である。

 こうした変化を、欧米メディアは高く評価しているが、このトレンドがどのぐらい維持されるか、言い換えれば、6.5%以上の経済成長は本当に保たれるか、皮肉なことに中国メディアの方が、自国の成長の持続性に疑問を感じている。

 世界経済の成長率見通しが2.4%とされている中、中国が6.5%以上の成長率を維持すること自体、決してたやすいことではないだろう。