できるかどうか、これから検討する話である。あたかもその方向で進むかのような既成事実をつくることは、政策のミスリードでしかない。

マイナス金利で銀行が悲鳴
日銀「新しい枠組み」のごまかし

 さて、日銀の金融政策である。「新しい枠組み」というが、ますます混沌、分かりにくくなった。

「総括的な検討」といいながら、失敗を隠し、責任転嫁に終始したのが今回の金融政策決定会合だ。

「2年で2%の物価上昇」が果たせなかったのは、原油価格が予想を超えて下落したこと、消費増税が景気の腰を折った、中国や新興国の成長にブレーキが掛かった。この3つの外部要因が災いした、というのである。よく平然と言えるものだ。

 こうでも言わなければ責任問題が生ずる。金融の量的緩和では物価は上がりませんでした、と素直に認めたら、「異次元緩和」を看板にした黒田総裁の責任が浮上する。それだけではない。就任早々、日銀が輪転機をじゃんじゃん回して国債を買い上げたらいい、と主張し、それに賛成した黒田東彦氏を日銀総裁に任命した安倍首相の責任が問題になる。

 黒田総裁の事情は分からなくはないが、だからといって「ごまかし」が許されるわけではない。「量的緩和は効いている」といフィクションを前提に政策が組まれると、さらに間違いを重ねることになる。

 日銀の人は頭がいいから、建前と本音を使い分けるだろう。

「量的緩和はこれからも続けますよ」と言いながら「量を目標にしません。金利水準が新たな目標です」という決定を今回した。本音と建て前の使い分けが隠されている。

 世間向けには「年間80兆円の資金供給を続ける」と従来方針に変わりないことを強調しながら、「もう量はいい。長期金利は下げない。マイナスに据え置く短期金利との金利差を確保しよう」という政策に切り替えた。

 なぜこんなことをするのか。金融界から不満が上がっているからだ。金融機関は短期資金を集め、長期金利で運用し利ザヤを稼ぐ。分かりやすい例では、銀行(とくに貸し先が少ない地方銀行)は集めた預金(短期金利)を国債(長期金利)で運用して儲けている。

 マイナス金利政策で長期金利までマイナスになった。地銀から悲鳴が上っている。生命保険や財団、年金基金など運用益で成り立っている業種からも怨嗟の声が上がっていた。