廃炉への岐路に立たされる「もんじゅ」
破綻の様相を呈する日本の核燃料サイクル

高速増殖炉「もんじゅ」が、廃炉の岐路に立たされている。日本の余剰プルトニウムの処理をどうするのか

 高速増殖炉「もんじゅ」が、いよいよ廃炉への岐路に立たされている。原子力規制委員会がこのほど、所管する馳浩文部科学相に対し、今の原子力機構(日本原子力研究開発機構)では不適格であり、新たな運営主体を明示するよう、運営の見直しを勧告、半年をめどに勧告への回答を求めたためである。

 しかし、新たな運営主体はすぐには見当たらず、廃炉への政治的な決断を迫った異例の勧告である。もんじゅの実現が頓挫すれば、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルの抜本的な見直しも避けられず、日本の余剰プルトニウムに対する国際社会の監視の目がさらに厳しさを増すことは必至である。

 もんじゅは、原子力発電所(軽水炉)の使用済み核燃料からまだ使えるウランやプルトニウムを取り出し、増やして再利用する高速増殖炉の原型炉で、核燃料サイクル政策の象徴的な戦略施設に位置づけられており、いわば「夢の原子炉」としてその実現が期待されてきた。しかし、相次ぐトラブルで実現の見通しが立たなくなったため、実現するまでの中継ぎ役として登場したのが、通常の原子力発電所でウランにプルトニウムを混ぜたMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料を燃やす「プルサーマル発電」である。

 当面、核燃料サイクルの軸足はプルサーマル発電に移されたが、コストが高いなどの課題が多いため、2015年度までに16~18基の導入計画中、実現したのはいまだ3基のみで、計画は軒並み遅れ、難航している。このため、文科省が半年以内にもんじゅの新たな運営主体を明示できない場合は、もんじゅの廃炉に止まらず、核燃料サイクルそのものも行き詰まり、出直しを余儀なくされることになる。

 もんじゅも核燃料サイクルも共に頓挫して、実現できなくなった場合、日本は今後、脱原発へ舵を切り替えない限り、増え続ける使用済み核燃料の余剰プルトニウムをどのように処理していくのかという課題を解消できなくなる。日本の原子力政策にとっては、待ったなしの喫緊の課題である。