北京大学、清華大学の滑り止めが日本のトップ大学――。東大、早慶を目指し、中国の成績優秀者が国境を越えて日本になだれ込んでくる時代になった。日本政府はこうした優秀な留学生が高度外国人材として日本に定着することを期待している。互いに補完し合える理想の関係が築けるのだろうか。
今回のコラムに登場するのは、早稲田大学に留学する江蘇省出身の周浩然さん(21歳・仮名)である。中国共産党の早期指導者である陳独秀、李大釗などが早大に留学していたため、中国では「日本留学なら早大だ」と東大以上に根強い人気がある。憧れの早大に留学した周さんは現在、国際教養学部の4年生、マーケティングを勉強している。
朝に強い中国人留学生
勉学の“朝練”まで
9月のある土曜日、筆者は周さんと新宿駅で待ち合わせをした。待ち合わせ時間の15分前、周さんからのメールが着信する。「今、着きました」――。遅刻、ドタキャンは当たり前の中国でさんざん苦い経験を重ねてきた筆者からすると、驚きの登場である。
周さんとは朝9時の約束である。同じ早大生でも日本人学生ならたいてい寝ている時間帯だ。前日のサークル仲間との飲み会を引きずり、昼夜逆転というのが日本人学生の傾向でもあろうが、中国人留学生にとって早起きは苦ではない。周さんの時間割に、「1限目」の授業が選択されているのもそのせい。日本人大学生なら真っ先に敬遠する時間帯だ。
「僕も含めて、中国人学生は比較的朝が強いです。中国には早朝7時の“朝練”を設ける大学もあるんですよ」
大学側はこれを学習態度の加点にするため、学生たちも真面目に参加しているらしい。