GDP世界2位でも
真の経済成長はこれから

 2010年の第2四半期、中国は名目GDP(国内総生産)で日本を追い抜き、米国に次ぐ世界第2位になった。しかも、この国はまだまだ成長の途上にいる。1人あたりGDPで見ると、たとえば日本は約4万ドル、米国は約4万6000ドル(ともに09年時点)だが、中国は3000ドル台。世界平均の約8000ドルにも遠く及ばず、まだまだ伸びしろがあるのだ!

 中国に詳しいグローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博さんは今後の成長について次のように解説する。

中国の1人当たりのGDPはこの10年で約4倍に!

 「中国の1人あたりGDPは、08年に3000ドルを超えました。急ピッチで経済成長している国の場合、3000ドルを超えると、その後はあまり間を置かずに1万ドルまで達する傾向があります。なぜなら、3000ドルを境に、人々の最低限の衣食住が満たされ、余裕ある生活を送れる層が増えるからです。余裕が生まれれば、人々は貧困時代に手が出なかったモノやサービスにお金を使うようになる。結果、爆発的な消費拡大が起こり、それが1人あたりGDPを一気に伸長させるのです」

12億人の生活向上で
消費が爆発的に伸びる!

 さらに、ここのところ中国は国をあげて内需拡大を推進中。かつて「世界の工場」とあだ名されたように、これまでの中国は、製造したモノを世界中に輸出することで稼いできた。

 だが、近年はお得意様だった日米欧の景気が低迷し、輸出産業が頭打ち。そのうえ、米国からの人民元切り上げ圧力も強い。切り上げれば、中国の輸出力は落ち込むとされている。