「強姦したといわれている人間だから――」(TBSテレビ「みのものたの朝ズバッ!」)

 ウィキリークスの創設者であるジュリアン・アサーンジが逮捕されて一週間。日本のテレビ番組などでは、いまだにキャスターやコメンテーターによるこの種の発言が散見される。果たして、日本の放送局のコンプライアンスは大丈夫なのか。

 なぜなら、これらの発言は、名誉毀損どころか人権侵害の可能性すらあるからだ。現在、アサーンジは有罪判決も受けていないし、釈放を待っている身である。さらに、そもそもこの事件に関しては冤罪の可能性が圧倒的に高いのだ。

 詳細は今週発売の「週刊文春」に譲るとして、たとえばメディアリテラシーの高い本コラムの読者ならば、連日事件の詳細を伝えている海外メディアの記事を1、2本読めばすぐに理解されることだろう。

疑問が多いアサーンジに対する“容疑”
日本メディアの報道は大丈夫か

 そもそもジュリアン・アサーンジが犯した「強姦罪」とは、性行為の際にコンドームをつけなかった、セックスの最中に女性に体重をかけ過ぎた程度の4点である。

 これを「レイプ」と呼ぶのは相当困難だ。英国の司法当局が保釈を認めたのも当然といえるのではないか(現在、スウェーデン検察当局が抗告中)。

 日本のテレビ・新聞は本当に大丈夫だろうか。BPO提訴程度で済めばいいが、仮にアサーンジ本人に海外で訴訟でも起こされたらひとたまりもない。きっと莫大な賠償金を背負うことになるに違いない。

 こういう時こそ、テレビ局などのコンプライアンス室がフル稼働すべきなのだが、海老蔵狼藉事件にかかりっきりで、機能していない。

 さて、ほとんど報道機関の呈をなしていない日本の新聞・テレビは放って置いて、ウィキリークスをめぐる問題はますます世界にとって最重要課題になっている。