「コードが書けないエンジニア」が続出?AI時代の仕事の常識はどう変わるかエンジニアの仕事を変えてしまいかねない「バイブコーディング」とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

AI界のキーマンによる数行のつぶやきで注目された「バイブコーディング」は、登場からわずか1年でエンジニアの仕事を、そしてホワイトカラー全体の働き方を変えようとしている。マイクロソフトやグーグルでエンジニアとして活躍し、複数の企業で技術顧問を務める及川卓也氏が、AIが当たり前になる社会でこれから起きる変革と、すべてのホワイトカラー層が今考えておくべき論点を考察する。

誰でもプログラムが作れる?
「バイブコーディング」の破壊力

「コードの存在を忘れる」。AI界のキーマンで、OpenAIやテスラでも活躍した経歴を持つアンドレイ・カルパシー氏は2025年2月、SNSのXにこのように投稿し、ソフトウェア開発の常識を根底から覆しました。

「バイブコーディング(Vibe Coding)と呼ぶ新しいコーディングスタイルがある。直感(Vibe)に身を委ね、コードの存在を忘れる。LLM(大規模言語モデル)があまりにも優秀になったから可能になった。私はほぼキーボードを触らない。声で指示を出し、エラーメッセージをそのままAIに貼り付けるだけだ。コードは私が普通に理解できる範囲を超えて育っていく」(カルパシー氏の投稿より)

 この投稿は450万回以上閲覧され、2025年11月にはコリンズ英語辞典が「バイブコーディング」を「今年の言葉」に選出しました。この言葉が世の中に刺さった理由は単純です。AIの最前線を歩み続けてきた人物が「AIが優秀すぎて、自分はもうコードを書いていない」と告白したからです。

 カルパシー氏は2023年の時点で既に、「最もホットなプログラミング言語は英語だ」と述べていました。プログラミング言語を習得せずとも、日本語や英語といった自然言語でコンピュータに命令できる時代が来る。その予言は現実となり、バイブコーディングはわずか1年で当初の想定をはるかに超えて広がり、進化を遂げています。

 エンジニアがコードを書かなくなるとき。その変革はソフトウェア開発の現場を飛び出して、ホワイトカラー全体の働き方を問い直しています。