2013年から、60歳で定年退職した社員に対し、本人が希望すれば65歳まで再雇用することが義務付けられた。ところが、その待遇の中身に関しては特に規制が存在せず、企業側が好きなように設定できる。

「定年直前までは年収1100万円だったが、今は200万円台。でも、仕事内容はまったく一緒」「パート社員のような条件を提示されて驚いた」。取材をしていると、こうした声が多かった。

 60歳での再雇用時の処遇は、実は査定期間である50代の働き方で決まる。その時代に自己研さんを怠り、しっかり働かなかったオジサンは、60代で泣くことになるのだ。今後、年金の支給開始年齢はさらに引き上げられる可能性があるから、50代の働き方は老後の生活設計にも大きく影響するのだ。

迫るバブルの時限爆弾
オジサン活用は待ったなし

 働かないオジサンの問題でより深刻な打撃を受けるのは企業側だ。大量採用したバブル世代という“時限爆弾”を抱えているからだ。

 空前のバブル景気に沸いた89~92年、日本企業は信じられないほど大量に新卒採用を行った。ある大手都市銀行では89年の入行組が1700人と、地方銀行丸々1行分の従業員数に迫る。

 上図で示したように、今から5年後の20年ごろには、年齢構成で突出しているバブル世代が50代前半に達し、企業は人件費の増加と、仕事と能力のミスマッチに悩まされることになる。さらに、10年後にはバブル世代が役職定年に、15年後には定年後再雇用となる。ある精密機器メーカーでは、バブル世代が50代に差し掛かる3年後には、全社員の50%が50代以上になってしまうという。

 総務省の調査によれば、従業員1000人以上の大企業全体で、40代後半から60代半ばの社員は500万人程度おり、中小企業を含む全企業では2500万人に上る。加えて、現状では、労働生産性は40代後半をピークに、50代、60代は下がる一方だ(総合研究開発機構調査、農業政府部門を除く)。

「活用されていない中高年は言ってみれば社内失業者。余裕のある今のうちにその社内失業者を顕在的失業者にしておくべき」と説くのは、中高年の再教育のための教室を始めた野田稔・社会人材学舎代表理事だ。本人にとっては転職がしやすく、企業にとっては原資を獲得しやすい、景気の良い今こそ、対策を講じるべきなのだ。