細くなるピラミッドに対して
下から押せばはみ出る人はでる

「働かないオジサン」の専門家が語る<br />日本企業の人事制度の問題点<br />――楠木 新氏(『働かないオジサンの給料はなぜ高いのか』著者)インタビューくすのき・あらた
1979年、京都大学法学部卒業後、保険会社に入社。人事・労務関係を中心に、経営企画、支社長などを経験。勤務のかたわら、「働く意味」をテーマに執筆、講演、セミナーなどに取り組む。著書に『人事は見ている。』(日経プレミアシリーズ)、『働かないオジサンの給料はなぜ高いのか 人事評価の真実』『人事のプロが教える 働かないオジサンになる人、ならない人』(東洋経済新報社)。

――なぜ、働かないオジサンは生まれるのでしょうか。

 日本企業の人事の仕組みに原因があります。

 能力や適性を考えずに新卒で大量に一括採用する。入社したあとも、個々人のスキルや能力の中身は細かく見ないで、一律で管理してしまう。

 その上、一つの業務に精通したスペシャリストではなく、ジェネラリストとして育成する企業も多い。「なんでもできる」と言えば良く聞こえますが、要するに誰がどの部署に居たっていい、誰でも変わらないということです。

 もちろん、そういう日本型のやり方が全て悪いということではありません。右肩上がりの時代には、フィットしていた部分も多かったのです。それが、今になってみると、マイナスの面が目立って来てしまった。

 マイナス面の一つは、ポストの数に対して、人が多いこと。社内のポストは、上に行けば行くほど少ないピラミッド型なのに、新卒で大量に入社した社員が一斉にそこに押し寄せることです。

 どんどん細くなるピラミッドに対して、ところてんのように、下から押したら、当然、はみ出てしまう人はたくさん出てしまいますよね。

――なるほど。