Photo:Rodrigo Reyes Marin/アフロ
小池百合子氏が都知事に就任して、今週の11月9日で100日となりました。メディアが好意的に取り上げてくれる“ハネムーン期間”が過ぎたことになりますが、実際にこれまでメディアは小池都知事に非常に好意的でした。
豊洲新市場、東京オリンピックの会場と話題性のあるテーマに取り組んでいることもあり、新聞・テレビは連日のように小池都知事の動きを好意的に報道してきたので、世論調査でも小池都知事の支持率は80%という驚異的な数字となっていました。
しかし、私自身が小泉政権で改革に携わってきた経験から言わせていただくと、小池都知事のこれまでの100日はあまり高くは評価できません。
「改革のアジェンダ」はいまだ不明
豊洲もオリンピック会場も“改革”ではない
その最大の理由は、小池都知事は事あるごとに“東京大改革”という言葉を口にするものの、具体的にどのような改革を進めたいのか、何が改革のアジェンダなのかがいまだに不明ということです。
豊洲新市場、東京オリンピックの会場の問題を世に明らかにしたこと自体は、間違いなく小池都知事の大きな成果ですので、その点では小池都知事はスタートダッシュに成功したと言えます。ただ、逆に言えば、この2つの問題は過去の負の遺産の処理に過ぎず、それらの発見や解決は改革でも何でもありません。
もちろん、両方の問題の背後には東京都の利権構造が深く絡んでいる可能性があるはずなので、そうした利権構造や関与した人物を暴き、それを徹底的に浄化することができたら、それは行政改革の観点から大きな成果となり得ます。
しかし、たとえば豊洲新市場での盛り土問題に関する報告書は、“自己検証報告書”という名前からもわかるように、都の役人が作成主体ですから、これでは行政改革につながる展開は期待できません。実際、第一次報告書は責任逃れに終始し、批判が強くなると第二次報告書では当時の幹部8人に責任があると、役人らしく連帯責任のみを指摘しています。
ちなみに、豊洲問題に関連して小池都知事は公益通報(内部告発)制度を導入し、都庁内に情報共有強化のための“マネジメント本部”を設置しましたが、これらは役人でもすぐ思いつく程度のもの、改革でも何でもありません。