監督も経営者も立場は明確
判断して責任を取るだけだ

──過去「映画監督には合議制は要らない」と明言されていました。経営者の場合はどうでしょうか。

 結局、監督も経営者も同じですね。作品と会社に対して責任を取るだけの存在なのですよ。自分で決めるか、人が決めた意見を採用するかだけ。その判断を最後に一人で下し、責任を取る。

 私の考えですけど、監督は作品に関して人のせいにはできない。脚本が悪かったというならば、やらなければいいと言うだけ。役者が下手だったのなら、その役者でも作品が成り立つようにするのが監督の仕事だというわけです。

──人を生かすということですね。

Photo by A.S.

 ええ、生かさなければならないのです。少なくとも「あいつは最後まで役が下手なままでした」というのは監督が悪い。役者が悪いわけではないのです。

──経営にも通じそうなお話です。

 そう思います。取締役が悪いとか営業がひどいとか、そういったことは会社でよくあるのかもしれません。ですが、それはあくまでも原因にすぎません。最終的には社長の責任でしかない。社長は責任を取るためにいる。監督も同じです。その点が似ているので兼任できているのかもしれません。

──経営者としての感覚を身に付けてから、見える世界が変わりましたか。

 『週刊ダイヤモンド』や『週刊東洋経済』といった経済誌を読むようになりましたよ(笑)。あとは、川上(量生・ドワンゴ会長、13年カラー取締役就任)さんとの出会いがあり、政財界へのつながりができました。アニメだけの世界にいたら、『シン・ゴジラ』の作品は決して作れていませんでした。

──最後に、企画展の話に戻りますが、キャッチコピーは「株式会社カラー10周年記念展~過去(これまで)のエヴァと、未来(これから)のエヴァ。そして現在(いま)のスタジオカラー。~」です。過去→未来→現在という時系列はあまり目にしない並び方ですが、何か意図はあるのでしょうか。

 それは単なる感覚ですね。一番大事なのは「現在(いま)」だと感じているからです。現在が一番大事だと思う。だから最後にしました。過去は、現在より前の積み重ねで、未来は、現在の積み重ねですよね。過去は存在するが、未来は存在しない。一番大事なのは「現在」。そう、ふと浮かんだのです。