約200人の「リーダーシップ溢れるエリート学生」への、「親に最も感謝している教育方針」に関するアンケート調査をもとに、真の教育のあり方を論じ、20万部のベストセラーとなっている『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』。
本連載ではその著者の一人ムーギー・キムさんの対談編をお送りしているが、今回は、医師として活躍される武藤真祐さんとの対談の第3回。武藤さんはどのように育ったのか?その秘密に迫ります。(構成:山本奈緒子)
幼稚園に行かずに「公文」をする:プロセスと結果を重視する両親
ムーギー 前回までは武藤さんの多岐に渡る活躍ぶりをお伺いしましたが、ここからは、一体どうやったら武藤さんのような人が育つのか。そこにまつわるお話を伺いたいと思います。前回お話の中で「人生の“オーナーシップ”を持っていたい」とおっしゃっていましたが、私とパンプキンの著書『一流の育て方』でも、そのような主体性を持って生きているビジネスリーダーや学生さんたちに、どのような育てられ方をしたかアンケートをとっているんです。その回答でもっとも多かったのが、「いろんなことを自分で決めさせてくれた」というものだったんですよ。
武藤 僕もそうかもしれません。突然ですが、公文ってあるでしょう?僕は公文を4歳で始めたんですけど、5歳になって2年保育に行くかどうかとなったとき、親が僕に決めさせてくれたんですよ。家にいて公文をやっていたいか、それとも幼稚園に行きたいか、と。それで僕は公文が面白かったので「公文」と答えた。だから幼稚園は一年しか行かなかったんですよね。
ムーギー 公文を選ぶ5歳というのもすごいですが……。他にも「親がこんな育て方をしてくれたから今の自分がある」というものは、どんなものがありますか?
武藤 両親とも勉強に関しては厳しかったんですけど、ただ父親と母親の役割が違っていて。まず父親のほうはけっこう結果にこだわったんですね。「やるからには結果を出せよ」と。でも口先だけじゃなくて、僕が勉強していると横にずっとついていて、自分も一緒に覚えているんです。歴史とか地名とか。
「結果を出せ」と言われるだけだったら「いいよな、自分は口だけで」と思ったかもしれませんが、そこは父も一生懸命勉強していたので、素直に聞くことができた。その点は感謝していますね。
ムーギー お母さんのほうはどうだったんですか?
武藤 反対にプロセスをすごく大事にする人だったんです。結果も大事だけど、サボッてできたとしても意味がない、それはただの偶然でしょ、と。だから父親と母親を合わせると、しっかり努力しなきゃいけないし結果も出さなきゃいけない。二重苦になるんですけど(笑)。
ムーギー だから頑張って、後世に何か残せるものを作りたい、というメンタリティが生まれたのかもしれないですね。