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ソフトバンクなど日本企業数十社が出資して国産のAI開発に乗り出す動きがあるが、政府はこれに1兆円規模の支援を計画しているという。その行方を占う上で、国立情報学研究所教授の筆者による現状分析は示唆に富む。ChatGPTやGeminiと同等のものを日本が作るのはもはや不可能な状況だが、それでも打つべき手は多々あるという。※本稿は、国立情報学研究所・情報社会相関研究系教授の佐藤一郎『2030 次世代AI 日本の勝ち筋』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。
日本は言語生成AI以外の
AI開発をすべきだった
ChatGPTが話題になった2023年以降、メディアは連日のように言語生成AIを取り上げ、「日本も追いつくべきだ」という論調を繰り返しました。さらに政治的な意向も重なり、政府は国産LLM開発の促進に舵を切りました。
しかし、大規模言語モデル(LLM)による言語生成AIを継続して開発するには、高度な専門人材に加え、学習モデル構築のため、大量の高性能GPUを駆使した大規模かつ長時間の計算を行えるだけの資金力が必要です。
また、生成AIをサービスとして提供する際も、生成処理1回あたりの計算量は学習モデル構築時より少ないものの、処理回数が多いため、全体の計算量はやはり膨大になります。そのため、継続的な運用にも資金力が求められます。日本企業、特にAIスタートアップにとって、LLM開発は消耗戦になりかねません。
日本の資金力と人材を考えると、言語生成AI以外のAI開発に誘導すべきだったといえます。言語生成AI以外のAIの中には、画像認識や音声認識など産業応用が期待でき、収益性も高い技術が多かったはずです。







