前回、真のグローバル経営を経験してきたビジネス・リーダーが、日本社会・日本企業の課題に対し『和魂洋才』の新たな視点から解決策を提案する「GAISHIKEI LEADERS」。そのメンバーが、経営のグローバル化と日本のユニークな強みを調和させた新しい「グローバル経営論」を解説するセミナー(共催/司会:ISSコンサルティング)の内容をダイジェストでお届けします。
11月19日に開催された第2回のテーマは「トップマーケッターになるために絶対にやってはいけない12のこと」。日本マクドナルド上級執行役員マーケティング本部長の足立光さんがP&Gでキャリアをスタートさせ、外資系を中心に数々のトップ企業で実績を積まれてきた経験から体得したマーケティングの鉄則を余すところなく紹介してくれます。今回はその後編となります。
<ATTITUDE>
9.いさぎよく負けを認めない(NEVER Give-Up)
:マーケッターは結果がすべてです。その製品を担当する「前と後の数字の差」しか残すものはありません。どんなに素晴らしい人でも、結果がなければ、「ただのいい人」です。スラムダンクの安斎先生が「あきらめたらそこで試合終了ですよ」と言うように、「最後まであきらめない」。これ大事です。負けず嫌いはマーケッターの絶対条件です。負け癖をつけてはダメ。仕事以外でも勝つことにこだわってください。
10.安易に上司に従わない(Never COMPROMISE Because of Boss/Consumers)
:繰り返しになりますが、マーケティングは結果がすべてです。上司と合意していても失敗したら自分のせいです。自分が正しくないと思っていることを納得できないのにやってはいけない。それは就業規則違反ですし、自分も楽しくないでしょう。もちろん上司は尊重すべきですから、できれば納得できるまで話すべきです。世の中にも、役員の鶴の一声でパッケージを変えて大コケした製品などは掃いて捨てるほどあります。
同様に、消費者の声も聞きすぎないほうがいいです。消費者ニーズは「リノベーション(改善)」には必須ですが、そこから「イノベーション(改革)」は出てきません。消費者のインサイトからしか、「イノベーション(改革)」は出てこない。綿密な消費者調査をもとに製品を刷新して大失敗した例も死屍累々です。大成功するマーケには間違いなくサプライズがありますが、往々にしてそれは事前に理解されにくいものです。決断は自分でしましょう!
11.革新的な計画にみんなの理解を得ようとしない(Permission-Less INNOVATION (Take Your Own Risk)
:「イノベーションのジレンマ」じゃないですけど、革新は辺境からしか生まれません。本当の革新は、いわゆる「本流(本社の偉い方々)」に理解してもらうのは、ほとんど不可能です。なので、革新的なことをやろうとするときは、みんなの承認をとろうとしないことです。勝手にやってください。成功したら大々的に公表して、ダメならもみ消せばいいんです。ご自分の決裁権限を最大限に利用すれば、後でもみ消せる範囲(小規模かもしれませんが)でも、やれることは結構あります。上司の耳に入れたとしても、失敗したら自分の責任ですしね。
12.マーケティングが主役にならない(Excite Your TEAM. Not You)
:マーケはひとりで仕事はできないので、周りの協力が重要だと先ほども述べました。リーダーでもあるし、裏方でもある。人は論理では動かないので、感情に訴えかけなければいけません。仕事外で関係をつくっておくと、みな助けてくれます。僕は亡くなったおばあちゃんに言われたんですけど「人間関係は引き出し」なので、できることはとにかくやってあげる。GIVE GIVE GIVEでいいんです。あと「笑い」の有効性はグローバルなので、みんなが気もちよく動いてくれるように、「笑顔のある職場」を作るように努力してください。日本でよしとされる『内に秘めた情熱』、これはまったく無駄です。「頑張ってるやつを助けてやろう」というのは世界共通なので、頑張ってる感は出したほうがいいんです。
以上、いかがでしたか。マーケティングというのは目標をどうやって達成するか、という大規模なシミュレーションゲームにも似た面白さがあります。思い切って楽しんで仕事をしてください!