代購業者向けの製品体験会を開催する一方、インフルエンサーには中国語が分かるスタッフを活用しながら、個別にアプローチをした。その数はおよそ300人にも上る。「代理店に頼めば、彼らへのアプローチを代行してくれるのですが、とにかくマージンが高い。自分でやれば、費用は3分の1から5分の1で済みます」。

タイムリーな発信しか
中国人に刺さらない

 アプローチをして製品を送っても、紹介してもらえるとは限らない。実際、紹介してくれたインフルエンサーは100人程度。だからこそ、とにかく大勢のインフルエンサーにコツコツとアプローチした。

 一方、多くの日本企業は、代理店経由で少数のインフルエンサーにアクセスするにとどまるという。これでは口コミを増やすことは難しい。爆買いや越境ECを制するには、高い広告料ではなく、こうした泥臭い営業努力こそが大切なのだ。

 また、防腐剤フリーにした自社商品を売り込める機会、すなわちフェイスマスクの安全を巡る報道が出た瞬間を逃さない。フェイスマスクは、中国語では「面膜」。渡辺社長は中国語ができないが、日々、中国の検索サイトで「面膜」のニュースをチェックしている。

「漢字だから、なんとなくニュアンスは分かります。危険なフェイスマスクに関する報道かなと思ったら、知り合いの中国人に内容を聞いて確認し、即座に『うちの製品は防腐剤フリーで安全に気をつけています』というニュースリリースを出すのです」

 たとえば昨年、手っ取り早く顔色が明るくなったように見せるために蛍光剤を配合したフェイスマスクを長く使った結果、蛍光剤が皮膚にしみ込んでしまい、暗がりで顔がぼんやり光るようになってしまったと訴える中国人女性の映像が拡散された。