真贋が不明な映像ではあるが、日頃からフェイスマスクの品質に神経を尖らせている中国人女性たちのあいだで瞬く間に広がった。こうしたタイミングこそ、自社製品の品質の良さをアピールする絶好の機会だ

「もう死にたい」「彼氏にも振られてしまった」――うつろな表情で話す女性のショッキングな映像は「ヤラセだ」との指摘もあるものの、「面膜」の品質に常々疑問を抱いている中国全土の女性たちを震撼させ、SNSで飛ぶように広まった。

 この一件のみならず、品質に問題のある「面膜」のニュースは、中国で繰り返し報道される。その直後に自社製品の安全性をアピールするリリースを出すことで、大きく取り上げられるというわけだ。

 こうして日々、口コミ醸成と情報発信をコツコツと積み上げた結果が、「独身の日」でのフェイスマスクナンバーワンに結実した。1位を取った「オールインワンシートマスクモイスト」だけでない。4位にランクインした「クイーンズプレミアムマスク」は、今年3月に発売したばかり。たった半年あまりでヒット商品に育てることに成功したのだ。

 昨年の爆買いブームは越境ECブームに変化しつつあるが、日本製品が中国人に好まれる事実に変わりはない。ただし、日本人の感覚でマーケティングをしても外すことばかりで、「多くの日本企業は、爆買いでヒット商品を出しても、なぜ自社商品がヒットしたのか、理由が分からない」(中国市場戦略研究所の徐代表)。

 そのため、ヒット商品の人気を持続させられず、売れたからと増産したら瞬く間にブームが去って在庫の山を築く、といった失敗事例は後を絶たない。日本人以上に中国人の購買動向は変化が激しいから、「もう中国人を相手にするのはこりごり」と話す日本企業も珍しくない。

 クオリティファーストの成功事例は、はやり廃りが激しい中国人向け市場であっても、「きちんと狙ってヒットさせる」ことが可能であることを示している。ただし、日本人向けのマーケティング感覚では結果は出せない。かの国の消費動向をきちんと研究する必要があるのだ。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)