年初からインフレ懸念の高まりや政情不安を背景に新興国市場は日米欧などの先進国市場よりも弱含みの展開となっている。債券からリスク資産である株式への資金シフトが起きている今、株式のなかではより成長期待が高い新興国株に資金が流入してもよさそうに思える。
しかし、現在、成長期待よりも冒頭のリスクから先進国株式の後塵を拝している。今後もこの傾向が続くのか考えてみたい。
1970年代の日本と現在の中国が似通っているといわれることがある。70年代当時の米国株式市場と日本およびドイツの株式市場を比較してみると、70年代前半以前は米国株に対して相関性も低くリターンの振れの大きな市場となっていたことがわかるが、それ以降は徐々に相関性を高めていき、日本の不動産バブル崩壊後の調整を経て再び同じような動きとなってきている(上のグラフ参照)。
直近の代表的な新興国市場と日米のリターンを比較すると、リーマンショック前では成長期待がリターンに反映されリターンの振れも大きくなっていたが、市場の大きな激震に触れたせいもあるのだろうが、その後は徐々に相関性の高い動きになってきている(中央のグラフ参照)。