うんこ。
中西敦士著
新潮社
224ページ
1300円(税別)
アイドル以外の人類ほぼ全員が関わる現象であるにもかかわらず、正々堂々と発声するには憚られるこの単語、しかしながらそれに悩んでいる人はとても多い。
例えば私…本書『10分後にうんこが出ます』のページをめくりながら、1歳半の息子の感染性胃腸炎のゆるゆるうんち(本書ではうんこ)と闘っていた。いくら昨今の紙おむつが優秀とは言え、大量のゆるゆるを放置すれば大惨事に見舞われることは請け合いなのである。ゆえに1人遊びではしゃぐ息子が不穏な動きをする度に私はおしりを覗き込むというルーティンを課せられていた。
あるいは自分自身の過敏性腸症候群最盛期の数多のヒヤリ、またあるいは昔バス停の脇で見た誰かの大量の下痢を思い浮かべ、とにかくうんこに関わる問題は常にすぐそばに存在している。
もちろん排泄する側の問題だけではない。介護の現場では排泄介助の負担が非常に深刻なのだという。
米国留学中の
強烈な体験がきっかけ
本書はうんこにまつわる切実な問題「いつ出てくるのか?」、を超音波を利用したウエアラブル排泄予測装置の開発によって解決しよう考えた、とある青年の2年あまりの記録である。
著者がうんこと向き合うきっかけとなったのもまた、強烈な体験からだった。彼は米国留学中の30歳目前のある日、トイレのない道端で盛大に漏らしてしまう。
う、うんこを漏らす…!