目的意識がなければコンビニに来ていただけなくなるのであれば、距離が遠くにあるモノを近くに置くことによって、今までにない体験価値を提供する。来店して体験してもらうことで、何らかの付加価値を生み出し、その一部をお客さまやメーカーからいただく。店舗という資産があるので、ネットの事業者とどうコラボするかという方向に、頭を切り替えていかなくてはなりません。

井上 逆に、我々は今までずっとネット専業だったのが、最近では、オムニチャネル(多様なチャネルを連携させること)化しています。コールセンター、チャットBOT(コンピュータによる自動対話システム)の他に対面型のリアルのカウンターでも対応している。というのも、不動産は難しいからです。例えば、田舎にある実家の家をどうしたらいいかを決める際に、関連する税や法律はとても複雑。いまのAI(人工知能)やBOTでは対応しきれない部分があるので、全方位の戦略を採っています。

実物に見て、触って、
確認する場所は必要

<<続いて、井上氏が「テクノロジー(インターネット)とリアルの組み合わせで、ちょうどいい感じと気持ち悪いと感じる境界はどのあたりにあるんでしょうか」と、問題を提起した。>>

村井リアルに存在するものとインターネット上に存在するものは、実は相互依存性は高いと思っています。10年くらい前からインターネットのビジネス利用が本格化したときには、リアルの場所に軸足を置いて、その情報をいかにインターネットに載せて流通させるかということを考えてきた。ただ、この考えでは時代の潮流に乗り遅れると見なされた結果、軸足がインターネット側に移ってきました。

 そこでインターネットの情報で満足する人たちがいる一方で、井上さんが言われた実家の相続問題など、現地に行かないと解決しない問題もたくさんあることが、明らかになってきました。しかし、流通している情報はインターネット上にある。それで今度インターネット上で出来上がった情報を、リアルの場所に移し始めている。両方が融合したタッチポイントをどうするかというトライを、野辺さんや井上さんもおやりになっている。実際、人間はインターネットだけでは生きていけないし、両方が連動しながらやることが、ユーザーにとっても、心地よいんだと思います。

野辺 実物に見て、触って、確認する場所はどうしても必要です。ローソンが最初にイングレスを活用させてもらったのですが、めちゃめちゃ送客力がある。「ネットを通じてきました」と。

 そこで例えば、店舗にカメラの新製品を置いても、説明のスペースまでは取れないので、AR(拡張現実)でその商品を重ねると追加の情報を知ることができる、というようなことができれば、新しい購買体験になる。こういうサービスはリアルがあるからこそできますが、リアルだけではできない。その点で、リアルとインターネットが融合したサービスが求められているという実感はあります。