「自衛隊員は命令だけでは動かない」統合幕僚監部経験者の元・三等陸佐に学ぶ「命がけの指揮」写真はイメージです Photo:PIXTA

戦場では、リーダーが突然不在になることも往々にしてある。部下が「指示待ち人間」では組織は立ち行かない。自衛隊や米軍ではそうした状況を防ぐため、あえて若手に立場や裁量を与え成長を促すという。女性自衛官の筆者が体験した、軍隊流のリーダーの育て方とは?※本稿は、元・陸上自衛隊幹部の有薗光代『セルフスターター 自分で自分を動かすスキル 米陸軍工兵学校で学んだ仕事と人生で大切なこと』(日本実業出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

役割が曖昧なままでは
本来の力を発揮できない

 自分が会議やプロジェクトの「まとめ役」を任された瞬間、急に頭のスイッチが入る――そんな経験はありませんか?

 反対に、役割が曖昧なときは、人は「自分は関係ない」と傍観者になりがちです。

 じつは、この「役割の不在」こそ、集団の機能を鈍らせる最大の要因です。

 陸上自衛隊では、役割を与えられずに宙に浮いてしまった隊員を「遊兵」と呼びます。もともとは中国古典『孫子』に由来する用語で、「指揮系統から離れてさまよう兵力」を意味します。

 しかし、現場では皮肉をこめて、「何もしていない人」という意味で使われることも。つまり、見た目は戦力でも、実際は機能していない。この状態は、企業やチームでも同じです。

「遊兵」化を防ぐカギは、意味づけの可視化です。

「自分が何のために、誰のために動いているのか」が見えないと、人は止まります。だからこそ、必要なのは次の3つです。

・誰がまとめ役か(指揮系統の明確化)
・誰が何を担うのか(責任の明示)
・自分の行動がどう成果に結びつくのか(貢献の可視化)