正々堂々と勝負して負けたことはありますか?そのやり方、本当に正しかったのでしょうか。事前に何かをしていたことで負けは防げていたのかもしれません。勝ちたかったのであれば、効率的な方法を考えたほうがよかったはずです。シリーズ6万5000部を突破した『ずるい勉強法』より、「ラクしたい」の重要性を考えていきましょう。
効率化のアイデアを生む
私の勉強法の発想は、これまでもお伝えしてきたように、「ラクしたい」という意識が根幹になっています。
しかし、世間では、「ラク」=「いけないこと」「怠けている」というイメージが根強くあります。とくに世代が上になるにつれ、歯を食いしばり、真面目に長時間やることを美徳とする傾向にあります。
はっきりいって、時間をかけても結果を出せない「真面目」は、現代社会では役に立ちません。社会に出たら、「頑張ったから評価して」という言い訳は通用しないのです。頑張った過程が評価してもらえるのは、せいぜい義務教育の中学校までです。高校以降は、テストの成績や順位など、結果を出さないことには始まりません。どんなにきれいごとを言っても、それが真実です。社会に出たら、とことん結果を追求するべきなのです。
しかし、いったん社会に出ると、やらなくてはならないことがたくさんあります。仕事一つとっても、実務のほか、会議や事務連絡など、細々した作業に時間をとられます。とはいえ、仕事や勉強だけに時間を使ってしまうと、プライベートがまったくない「仕事人間」になってしまいます。それでは、充実した人生は望めず、「人間力」を磨くことができません。
やはり、仕事もプライベートもどちらも充実させてこそ、人間として成長できるのです。両方のバランスをとりながら、すべてをこなすためには、時間を効率的に使う以外に道はありません。
そのカギとなるのが、「ラクしたい」という意識です。
効率を上げるために、いかにラクをするかをとことん考えるのです。それが、効率化のアイデアにつながります。
私は、会議などを行う前に、同席する人と個別に事前の打ち合わせをするようにしています。たとえば、「明日の会議でこういう意見を言うつもりだけれど、できれば賛成してほしい」と話しておくのです。
これは、いわゆる「根回し」です。
「根回し」というと聞こえは悪いかもしれませんが、合意や調整を目的とした交渉は、ネゴシエーションとも呼ばれ、ビジネスの現場でもよく使われています。事前に相手に情報を入れることにより、会議での無駄な論議をなくし、時間をかけずにラクして成果を上げることができます。
「ずるい」かもしれませんが、これもラクしたいという意識から生まれた「効率化」です。エリートなら、根回しをしなくても正攻法で勝負できるでしょう。しかし、それができないなら、このような手段も利用していくべきです。そうすることで、彼らを出し抜くことができるのです。
ネゴシエーションや根回しと言われると、大変なことのように思うかもしれませんが、決して特別なことではありません。
ラクしたい意識から仕事の効率化を考えていくと、結局は日常的にやっている、いわゆる「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」に行き着きます。とくに、「相談」は、まさに根回しと同じことです。
事前にきちんと報告・連絡・相談をするだけで、時間を短縮することができ、自身のパフォーマンスの向上にもつながっていくのです。
みなさんも、今自分がやっている方法を振り返り、「もっとラクな方法はないか?」と、探してみてください。