1月下旬、埼玉県の市立小学校の女性教諭が、担任する女子児童の保護者に対して、500万円の慰謝料を求める訴えを昨年9月に起こしていたことが報じられた。ワイドショーがこぞって「前代未聞」と取り上げたこの訴訟は、これまで取り沙汰されてきた「モンスターペアレント問題」が新たな局面を迎えたことを意味している。報道から1ヵ余りが経った今、この騒動は教育現場にどのような影響を与えているのか? 現役教師や保護者の声を聞くと、教師からは「保護者の質」を問う声、保護者からは「教師の質」を問う声、さらには両者から「マスコミの質」を問う声が聞こえてきた。(取材・文/プレスラボ・小川たまか)
教師が親を訴えた「モンスターペアレント訴訟」
学校側は訴訟支持、ネット上では賛否両論
あまりにも理不尽すぎる……。もう耐えられない――。
今年1月下旬、埼玉県の市立小学校の女性教諭が、担任する女子児童の保護者に対して500万円の慰謝料を求める訴えを、昨年9月に起こしていたことが報じられ、世間の耳目を引いた。
ワイドショーがこぞって「前代未聞」と取り上げたこの訴訟は、これまで度々取り沙汰されてきた「モンスターペアレント問題」が、新たな局面を迎えたことを意味しているようにも見える。
報じられている内容によれば、訴訟を起こしたのは45歳の女性教諭。担任する小学3年生の女子児童の保護者に「いわれのない中傷を受け、不眠症になった」などとして、500万円の慰謝料を求めている。
保護者から受けた行為は、8回に渡って連絡帳に批判を書き込まれたことや、児童の背中を強く叩いたとして被害届を提出されたことなどだ。学校側も教諭の訴訟を支持する姿勢を見せ、「モンスターペアレンツに学校や教師が負けないようにし、教師が全ての教員を代表して訴訟を行なっている」と記載された文書を、市の教育委員会に提出したという。