グラミー賞を3度受賞している世界的な音楽グループ、ブラック・アイド・ピーズ(BLACK EYED PEAS)のメンバーであり、トッププロデューサーとしても活躍するウィル・アイ・アム(will.i.am)。多才な彼は音楽分野のプロデュースや慈善活動のみならず、最近ではインテルやセールスフォース・ドットコムといった企業ともコラボレーションし、イノベーションを起こそうとしている。なぜ、彼は企業とともにイノベーションに取り組むのか。現在発売中のニューアルバム『ザ・ビギニング(THE BEGINNIG)』のプロモーションで来日中のウィルに、彼の音楽性や企業とコラボレーションをする理由を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子、撮影/加藤昌人)

ハイテク技術の発達が
音楽のあり方さえも変えた

――現在発売中の新しいアルバム『ザ・ビギニング』はテクノポップの要素が強く感じられ、これまでの曲と印象が大きく違います。どのような考えやきっかけから曲調に変化が生まれたのですか。

ウィル・アイ・アム(will.i.am)
1975年3月15日生まれ。ヒップホップグループブラック・アイド・ピーズ(The Black Eyed Peas)のメンバー。カリフォルニア州ロサンゼルス出身。ブラック・アイド・ピーズのブレイン的存在。ほとんどの楽曲をウィルが作っており、マイケル・ジャクソン、U2など大物との楽曲製作にも携わったり、プロデューサーとしても活躍している。
Photo by Masato Kato

 今回発表した『ザ・ビギニング』というアルバムは、今の時代を象徴していると考えています。

 前作のアルバム『ジ・エンド(THE END)』はちょうどツイッターが登場した頃の2008年、4作目の『モンキービジネス』を発表した05年当時はYouTubeが出てきた頃、3作目の『エレファンク』を発表した03年当時はまだYouTubeさえ存在しない時代でした。

 これまでの大きなスタジオに行って曲を録音するというスタイルから、今ではラップトップPCやタブレットPCを使って自由に創作活動ができる時代になっています。まさしくこうしたハイテクを駆使して、音楽を作り、シェアして、仲間と一緒に働くことでネットワークができているのです。そういう意味では、今は曲を制作してもレコード会社に持っていく必要はなく、クリックすればすぐ多くの人に配信できる全く新しい時代といえます。

 ですから、様々な企業やグループにとって、全く新しい創造の世界が到来したことを表現したのが『ザ・ビギニング』という形になったと考えています。

ITツールを駆使することで
効率的な仕事が短時間で可能に

――ハイテク技術が楽曲作りを変化させた、ということですね。それに関連して、最近ではミュージシャンのプロデュースだけではなく、IT技術で最先端を進むインテルやセールスフォース・ドットコムといった企業と様々な形でコラボレーションし、イノベーションを起こそうとされています。