デモの整理整頓に貢献したインターネットや携帯電話の検閲体制も優れている。百万人単位の人口の小国、カタール、UAE、クウェートでは、国内単一のプロバイダを通じて、政治的に問題あるサイト等は強制的に検閲されブロックされる。人員予算とも中国に次ぐ、サウジの検閲体制は、問題のあるサイトをブロックするだけでなく、早期に危険人物を特定し追跡する能力も持つ。今回の事件で、これらの国々はさらに監視・検閲体制を強化していくだろう。反政府の運動の芽を摘んでいくだろう。

 中東大産油国には、反政府デモにつながる経済的不満という火種がない。不満が起きそうな政治や経済の問題に、首長が素早く自主的に莫大な予算で対応している。共和制の名のもと、富と権力を長期独裁する政権もない。反政府の市民団体もない。受け皿になる野党もない。厳しくネットも検閲されている。ドミノを騒ぐ前に各国の経済状況・社会政治体制の違いに着目することが重要である。

 地政学という切り口で言えば、最大の危機は、我が国の隣にある。北朝鮮だ。さらなる核実験を準備し始めた形跡がある。米韓合同軍事演習に露骨な嫌がらせを続けている。厳冬で食糧生産にも支障が出そうだ。我が国には、中東をカラ騒ぎする余裕はない。