現役の外務大臣が
ワシントンで倒閣宣言!
オーストラリアの政治が熱い。豪州のケビン・ラッド前首相が訪米中にワシントンで倒閣宣言の会見を開いた。いきなり外相を辞任。現政権の要職にある閣僚が海外から首相に反旗を翻す。元首相が現首相に下剋上を仕掛けたのだ! 日本政界ではなかなか見られない、ダイナミックな権力闘争だ。
現首相のジュリア・ギラード女史が、今週月曜日に行われた豪労働党党大会での党首選でラッド前首相の挑戦を102対71で退けはしたが、この下剋上騒ぎはギラード政権の支持率が急上昇しない限り続きそうだ。
ラッド首相の狙いは来年の総選挙。現時点で与党労働党は、トニー・アボット率いる野党・保守党に支持率で10ポイントの大差をつけられている。このままでは政権交代だ。自身が党首として政権交代を実現させたラッド前首相は、「もう一度保守党に勝つには俺が先頭に立つしかない」との思いなのだろう。
実際ラッド前首相は選挙に強い。2007年の総選挙では当時の野党労働党の党首として、テレビ討論で当時のジョン・ハワード首相を圧倒し、2007年12月に政権交代を実現。第26代豪州首相の座に就いた。テレビ討論に非常に強く、就任二年後の支持率は64%を超え、オーストラリアの首相の就任二年後の支持率の新記録をマークした。
また西側の首相としては初めて流ちょうな中国を操り、国際舞台でも台頭する中国と互角に渡り合った。また、モーレツな働きぶりでブッシュ政権にも、イラク政策やリーマンショック後の対策でかなりの影響力を行使した。
しかし、その後ラッド首相の人気は凋落していく。自身が政権交代を実現させた総選挙の目玉政策であった、排出権取引制度。この導入に失敗。また、オーストラリア財界の金脈である、鉱物資源で利潤を上げた資源関連会社を狙い撃ちにした「鉱物資源採掘税」の導入を巡って、産業界を敵に回してしまった。