

では、企業が顧客を開拓するのに効果的なコンテンツとは何かを考えてみたい。
徳力氏によれば、たとえば動画において成功している企業の「コンテンツ発信戦略」はおおむね、①「ソーシャルメディア専念型」、②「ソーシャル→マス選抜型」、③「マス/ソーシャル併載型」、④「マス/ソーシャル利用者巻き込み型」の四つに分類できるという(下の一覧表参照)。
たとえば、③の事例であれば、サントリーが「角瓶」のプロモーションで提示した「おいしい角ハイボールのつくり方」は大きな反響を呼んだ。テレビCM放映されたが、動画検索をかける人が続出。こうしたレシピ的コンテンツは、いつでも何度でも視聴できるデジタル動画コンテンツが得意とするところだ。
もちろん、動画共有サイトの活用は、必ずしも企業がCMに使うような高品質な映像である必要はない。むしろ、社員個人が自分の顧客のために投稿するようなそれほど質の高くない動画コンテンツを大量に投稿するほうが、思わぬ盛り上がりのネタが見つかるケースもある、と徳力氏は述べる。
多くの人に一度に見てもらえるものの時限性の高いマスメディアに対して、インターネットメディアには「ロングテール」という大きな機能特性がある。コンテンツを半永久的に掲載でき、繰り返し見てもらえるこの機能を見極め、反応がよいコンテンツを適宜マスメディアと組み合わせてプロモーションするなどの工夫が効果的な場合もある(上の表「2 ソーシャル→マス選抜型」参照)。
ここ数年で急激に多様化してきたインターネットコミュニケーションサービスだが、それに伴い、よりリッチなコンテンツがより手軽に発信できるようになった。そのなかで公式アカウントだけが企業のSNS活用ではなく、担当者対その顧客というボトムアップのコミュニケーションが、企業に思わぬ利益をもたらす可能性を徳力氏は示唆する。