◇ピアニストの日本人妻と中日友好の橋をかけて

 バイオリニストの盛 中国(シェン・チョングオ)は、ピアニストの日本人妻と共に中日友好促進のために両国で演奏会を行なっている。1987年の東京公演からスタートした彼らの活動はその後、順調にファンの数を増やしているという。

「中国はしょっちゅう抗日戦争の映画やドラマを放映しておりその結果今でも多くの中国人がイメージする日本人はあの日本人のままだが、いまの日本はあの時代とは全く異なり多くの人が平和を望んでいる。中国は今の平和な日本を中国人に向けて発信するべき」と盛は語っている。

 彼によれば、日本文化には、(1)国民の素養が高いこと、(2)公共のモラルを重んじていること、(3)きわめて小さく繊細なものなど、日本特有の楽しみを味わう方法があること、(4)信用と秩序を重視することの4つの特徴がある。

 これらは日本の美点ではあるが、同時に欠点にもなる。日本人は自律意識が強いぶん、融通がきかない。また、保守的で古いしきたりに固執するため、創造性とバイタリティーに欠けるところがあるというのが盛の見立てだ。一方、中国人はもっとフレキシブルであり、結果を重視する。さらに、日本人よりも個人主義を強調する傾向がある。

 このように、多くの国民性の違いを抱える両国ではあるが、中国は日本との関係を重視しなければならないと盛は考えている。日本には先進的なテクノロジーと豊かな管理経験があり、中国には広大なマーケットがあることから、互いが協力すればそのパワーは巨大である。関係が良くなれば双方にとって有益だというのがその理由だ。

一読のすすめ

 中国人や中国という国をイメージするとき、それがネガティブなものであるとしたらとても悲しいことである。一方、教育やメディアを通して得られる情報とは違う在日中国人の生の声を耳にすることで、そのイメージが少しでもいいものに変われば、将来の日中の友好関係の改善につながるかもしれない。そういう意味で、本書は中国という大国への理解を深め、よりよい日本をつくるために役に立つ一冊だといえるだろう。

評点(5点満点)

著者情報

趙 海成(チャオ・ハイチェン)

 1955年、中国・北京出身。82年に北京対外貿易学院(現在の対外経済貿易大学)日本語学科を卒業。85年に来日し、日本大学芸術学部でテレビを専攻。88年には初の在日中国人向け中国新聞『留学生新聞』の創刊に携わり、初代編集長を10年間務める。95年、10カ国の在日外国人向け外国語媒体を束ねる「外国人情報誌連合会」代表に就任。99年、中国情報を発信する日本の衛星放送事業者、大富(CCTV大富)の宣伝部長に。また同じく99年には、外国人にかかわる諸問題について都知事に意見を述べる「外国人都民会議委員」に東京都より選出される。2000年、日中合作ドキュメンタリー『シルクロード』の制作に参加。2002年に中国に帰国し、以後は日中を行き来しながらフリーのライター/カメラマンとして活躍している。

xiongxiong412@hotmail.com

(1冊10分で読める要約サービス flier