日米韓の安保協力に関わる米国の経済的負担についてトランプ氏の見解は変わったのであろうか?米軍の東アジアにおける役割を継続してもらうためには、日韓両国は、これまで以上に米軍との協力関係強化に努めていく必要がある。

 しかし、日米韓協力の強化にあたって、韓国の政治状況は極めて混沌としていることが大きな障害となっている。

韓国の次期大統領は
トランプ氏よりも大きな変数

 朴大統領は国会の弾劾決議を受け、職務停止の状況にある。昨年のAPEC会合において、各国が首脳外交を繰り広げる中、朴大統領に代わって出席した黄教安(ファン・キョウアン)首相(大統領代行)は主催国以外の各国とは首脳会談を行わないまま帰国した。トランプ大統領になっても、韓国はトランプ大統領に直接韓国の立場や置かれた状況、米韓同盟の重要性を訴える機会は得られないであろう。

 それにも増して深刻なのが、韓国の次の政権である。憲法裁判所において朴大統領の弾劾が決定されれば、60日以内に大統領選挙が実施される。仮に弾劾が不成立でも本年12月には大統領選挙がある。現在の韓国の国内政治情勢では、ポピュリズムの風が吹き荒れており、「国家大掃除」「財閥総帥の財産没収」「ソウル大学廃止」などの公約が噴出している。目先の大衆の人気ばかりを追う近視眼的な政治家が勢いを得ている。

 現在、最も有力な候補と言われる「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表は代表的な対北朝鮮融和派であり、北朝鮮とは対話の強化を主張している。前回の大統領選の候補者であった時に、当時在韓国大使であった私が面会したが、日本は北朝鮮政策をどうするのかと尋ね、日本の北への対応如何で韓国の対日政策を考えるとの雰囲気であった。

 仮に次の大統領が北朝鮮に対する政策を全面的に見直す場合、トランプ大統領の反応はどうなるのか。また、韓国が最新鋭の地上配備型高高度ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国配備を見直す場合、トランプ大統領はどう反応するのか。

 中国は1月11日に初めて公表した安保白書で、THAAD反対の立場を北朝鮮の核問題の次の項目で紹介し、「各国は自国の安保利益を考慮する時、同時に他国の安保利益を尊重しなければならない」として米韓を名指しで批判している。そうした中で、北朝鮮との対話を重視する政権は中国の役割を重視し、THAAD配備に慎重になることも考えられる。