陥りがちな思考の罠に迫る「カイゼン!思考力」。今回は、虚偽の相対順位を取り上げる。
――問題です
以下のAさんの考え方の問題点は何か。
あるシステム導入の商談において。
A「ということは、御社には現在、本件に関しては4つのソリューションがあるというわけですね」
B「そうです」
A「1番目のノーカスタマイズ版が400万円、2番目の標準カスタマイズ版が600万円、3番目のスーパーカスタマイズ版が800万円、4番目のゴールドカスタマイズ版が1000万円か。ちなみに、いま一番ニーズが多いのはどのバージョンですか?」
B「そうですね、現在、ユーザー数が一番多いのは600万円の標準カスタマイズ版です。それでほとんどのお客様の基本的なニーズにはだいたい応えられますので」
A「スーパーとかゴールドとの違いはどんなところですか?」
B「スーパー版では、カスタマイズの細かな要望にもお応えします。ゴールド版は、常駐者を派遣したり、どのような突発的なトラブルであっても最優先で対応するなどの特典が付加されます」
A「(まあ、カスタマイズ版であれば、基本的な要求には応えてもらえるということか。予算の都合もあるし、あまりハイスペックにする必要もないから、やはり標準カスタマイズ版かな。4つの選択肢のうち、下から2番目の価格ということであれば社内稟議も通しやすいだろう)」
B「いかがなさいますか?」
A「そうですね。今回は標準カスタマイズ版でお願いしますよ。その線で社内を説得してみます」
商談後。Bさんはこう考えていた
B「400万円のノーカスタマイズ版でもだいたい必要なニーズは満たせるのに、それより200万円高いバージョン買ってくれるお客さんが多いから助かるわ」