営業マンの中には、「自分は話し下手だから、セールスに向いていない」と思っている人が少なくありません。しかし、話し上手だから営業がうまくいくとか、話し下手だからうまくいかないということはありません。大事なのはふだんの立ち居振る舞いです。それによってお客さまに信頼感を持ってもらうことこそ、営業の基本姿勢です。
約束をきちんと守り、頻繁に様子をうかがい、メリットになる情報を伝える。一方で、お客さまに不自由な思いはさせない。これらを心掛けていれば、うまく話せなくても必ず売れるようになります。
その意味では、セールスマンに向き不向きはありません。話が下手なら下手なりに、お客さまに喜んでもらえる接し方をすればいいのです。これこそ営業テクニックを超えた、トップセールスマンになる最大ポイントです。
だいたい、どんなに話し上手な人でも、言葉だけですべてを伝えることはできません。何らかの形で、足りない部分を補う必要があります。話し下手な人なら、その部分を充実させればいいのです。
話すのが得意でなければ、言葉でいろいろ説明するより、すでに買って使っているお客さまのところへ連れていくという手があります。その場でお客さま同士、使い勝手などについて話をしてもらえれば、なお有効です。
つまりここでは、営業マンは仲介役に徹しているわけです。お客さまから悩みを聞き出し、同じ悩みを解決した人に引き合わせる。お客さまに話してもらうだけで、自分が話す必要はないのです。
お客さまとの「協調」が
トップセールスマンへつながる
トヨタでは営業マンを営業部員でなく、「営業スタッフ」と呼びます。彼らはトヨタのクルマを売るための人間でなく、お客さまの仕事や生活をサポートし、よりよくするためのスタッフであるとアピールしているわけです。