トランプの保護主義政策は混乱の末に修正を余儀なくされる

いくつかの
矛盾を抱える基本政策

 トランプ大統領が1月20日に正式に就任した。そして、就任初日にいくつかの基本政策が発表された。すでに選挙中に言及されていた内容なので目新しさはないが、今後の優先政策となるものだから整理して、それによって導かれる結果を考えてみたい。

 結論から言えば、基本政策には根本的に矛盾するところがあり、トランプ大統領の政策は早晩修正を余儀なくされるだろう。つまり、路線はどこかで曲がり角にぶつかって変わる。曲がっていくのはトランプ自身だけではなく、TPPなどで協調しようとしていた日本などの国々も従来の路線を曲げていく圧力にもなる。

 世界経済は遠回りをして数年後に同じ課題に戻ってくるというのが、トランプ大統領が道を曲げた後の帰結となるだろう。

 トランプ大統領の基本政策のうち、日本と係わりの深い経済項目は、(1)TPP脱退とNAFTA再交渉、(2)4%の経済促進と2500万人の雇用創出、となるだろう。簡単にまとめると、保護主義+経済成長というのが基本路線となる。現時点でまだ触れられていない、(3)法人税等の減税、(4)10年間で1兆ドルのインフラ投資を含めて考えると、基本経路=保護主義+経済成長+財政拡張という組み合わせになる。

 まず経済成長と保護主義は両立するのだろうか。

 財政拡張による経済成長は、米国の需要サイズを膨らませて、国内供給力を上回る部分は輸入増となる。輸出を一定と考えると、貿易赤字は拡大することになる。米国の貿易赤字に腹を立てているトランプ大統領は、中国や日本、メキシコなどの貿易取引を管理しようとして、保護貿易色を強めることとなろう。