会話が少なくなる先には…(イメージ)

気遣いからの提案を、気遣いからの遠慮で断られる――。日常の端々で見られるこのさりげないやりとりに、一抹の寂しさを感じることがないだろうか。

 こうした気持ちのすれ違いと、その積み重ねによってほつれつつあった夫婦の絆を描いたWebショートドラマが一部で話題を集めている。タイトルは『10年目の選択』。Honda認定中古車ディーラー「ホンダオートテラス」が2017年1月16日から公開を開始したものだ。

 作中で描かれる夫婦はもうじき結婚10年目。仲は悪くないが、夫はひそかに傷ついていた。多忙な妻にアクセサリーを贈ろうすれば「アクセサリー? いらないよ~」と断られ、買い物に行く妻を車で送ろうとすれば「いい、いい。忙しいでしょ」と遠慮される。妻からすれば、夫を気遣っての言動。だが、夫は妻に気を遣わせてしまうこと自体に無力感を感じ、独白する。「もう一度だけでもいい。YESといってほほ笑んでもらいたい」。

 終盤では夫が結婚から10年目の“選択”として妻に車を贈り、これによって2人の絆が強まることが示唆され、ドラマは幕を閉じる。つまり自動車ディーラーのPR動画なのだが、その過程で描かれる夫婦の心情が見た者の共感を呼んでいるのだ。

 夫婦の「気遣い」がすれ違うとき、両者の胸中にはどんな感情が生じるのか。ドラマの公開に先立ち、ホンダオートテラスは夫婦の関係性について、全国の既婚男女779名を対象に調査を実施。その結果を紹介する。

「あなたは、家事をしようとした時に妻から『いいよ、私やるから』と断られたことはありますか」という質問に対して、「断られたことがある」と回答した男性は43.9%、「断られたことはない」と回答したのは56.2%だった。

 この43.9%の男性たちに断られた時の気持ちを尋ねると、「ラッキー!って感じました」(47歳・男性)、「どうやら今日は楽をしてもいいようだ」(35歳・男性)とポジティブに捉える声も存在したものの、注目すべきは「せっかくやる気になったのに、どうして断るのかわからない」(47歳・男性)、「(断るにしても)もっと言い方があるだろうと思った」(48歳・男性)といらだちを覚え、家事に対するモチベーションが下がってしまう人が多かったことだ。円満な夫婦関係のためには、仮にそうすることで労力が増えてしまうとしても、やる気を見せた夫にはある程度家事を任せた方が良さそうだ。

 また、ドラマで描かれた夫のように、「なんとなく寂しかったが、嫁さんが気を遣ってくれていると思うと悪いことをしたと思った」(47歳・男性)と考える人々も存在したことも見逃せない。