たとえば、0.5%の金利を10年前倒しで100万円返してしまうと、35年間では18.6万円ほどの金利節約になるが、当初10年間では4.3万円に過ぎない。100万円の繰り上げ返済がローン控除10年分で10万円に相当するので、金利よりも還付金の方が多く、5.7万円(=10-4.3)が損になる。

 ちなみに金利が1%になると、当初10年間では8.8万円の金利節約になるので、還付金と遜色ない金額になり、繰り上げ返済をやめる理由が薄れる。これも金利が低い人ほどその差額が大きくなる。つまり、金利が1%よりも低くなったら、繰り上げ返済はしない方がいいことになる。もしするならば、ローン控除が終了した10年後にまとめて行うのが最適ということになる。

 そして第三に、金利は安いに越したことがないことについて。金利が安いと金利支払い額が小さくなるだけではなく、元本の減り方も早くなる。元本の減りが早ければ、長期的に金利負担は軽くなりやすい。結果的に、ローン控除と金利の差額も大きくなり、キャッシュが生まれるか否かは金利次第になる。

昔も今も変わっていない!
10年で買い替えるべき10の理由

 今回のローン控除の総額は10年で400万円だった。このように持ち家優遇の制度は多い。その多くは、当初の期限が5~10年で設定されている。過去の筆者の本の中では、以下の12の「10年で買い替える理由」を書いたが、これは今でもほとんどが生きている。

(1)含み益を出す
(2)住宅取得控除の期間が10年で切れる
(3)10年固定金利はそれ以上の長期固定金利よりも低い
(4)フラット35Sの金利優遇は5~10年で設定されている
(5)固定資産税の新築住宅の減額には5年の期限がある
(6)買いたい人は10年以内を望んでいる
(7)最新設備を手に入れる
(8)共用施設は数年で使われなくなる
(9)12年目の大規模修繕を回避する
(10)家賃は築年で安くなる
(11)生きている間に耐用年数(築47年)が来てしまう
(12)瑕疵担保責任は10年で切れる

 マイナス金利は、この本を執筆している頃は想定していなかった。金利負担を軽減すると思われていた住宅ローン控除は、今やそれ以上の効果があり、単にキャッシュを生むまでになっている。こうした制度は毎年変わる。次回の消費税改定(2019年10月)に際して、住宅資金贈与の非課税枠を1800万円分増やすことがすでに決まっているし、過去にも住宅ローン控除枠の増減は何度となくあった。

 こうした税制と同様に、金利についても同様のアンテナを立てると、今回のような組み合わせでキャッシュを生み出すことが可能になるので、注意を払ってほしい。

(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)