言うだけで自分はやらない!
ダメ経営者に社員は付いて行かない

 実はこうした事態は文科省だけではなく、民間企業においても、よく見られる。

「社員には経費節減を唱えながら、相変わらず経営者はグリーン車、ビジネスクラスで移動している」、「社員一人ひとりの働きがいの向上を掲げながら、役員は個室、部長は広めのブース、課長は角席、係長は4人掛け席に4人掛け、一般社員に至っては4人席に5人掛けを強いている」、「現場の知恵を吸い上げることをスローガンに掲げながら、相変わらずトップダウン経営の能しかない」…自覚していないのは経営者だけで、社員はそのギャップにとうに気づき、もはや経営陣は信頼できないと諦観しているケースが少なくないのだ。

 やる側にやらせていることは、やらせる側もやらなければならない。当たり前のことだ。むしろ、やらせる側は、模範的にやらなければならない。人事課もモデルを示さなければならない。

 経営陣が自らが率先して行う姿勢を示さない限り、社員全員にビジョンを共有することなど不可能なのだ。戦略を実現できないと相談に来られる経営者は少なくないが、戦略が実現できないのは、実現するためのプロセスや仕組みや実現する側のスキルの問題もさることながら、経営者の姿勢がブレーキになっていることに気づいていないケースが実に多いのだ。

 経営者がそれに気づくにはどうすれば良いか。私が経営者から依頼を受けて、組織開発のサポートをする際に必ず実施することは、社員一人ひとりからヒアリングをすることだ。このように申し上げると、経営者の中には、「社員の声は、社員満足度調査や、定期的な面談や飲み会で把握しているから問題ない」というリアクションが必ずある。