文部科学省事務次官も関与した組織的な「天下り」のあっせんは、同省人事課がご丁寧にも文書作成するというトンデモな事態である。同省に教育行政を仕切る資格はない。しかし、そのこと以上に、この組織を解散しなければならない理由がある。(リブ・コンサルティング人事部長兼組織開発コンサルティング事業部長 山口 博)

天下りあっせんは人助け!?
文科省の末期症状

 文部科学省の組織的な「天下り」のあっせんは、現行の国家公務員法に違反する、いわば違法行為であること自体、むろん問題であるが、文科省が組織ぐるみで、しかも人事課が首謀していたことが、事態の深刻さを示している。文科省は国民教育の砦ではないのか、そして、人事課は組織における職員・社員のあるべき姿を示す、ロールモデルの役割を担う存在ではないのか。

天下り文科省の膿を出し切るには「解体」しかない文科省の天下りあっせん問題は、組織が末期的状態に陥っていることを示唆している。そして、こうした「もの言えぬ」組織は、民間企業にも散見される問題だ(写真はイメージです)

 文科省は、「法律を守らなければなりません」と現場に指導しながら、自らは違法行為を行っているという事態だ。

「李下に冠を正さず」と現場には教育していながら、自らは「規制に抵触するとは思わず、軽信していた」と言い逃れをしているのだ。

 組織的関与を追求されて、(天下りのあっせんは)「人助けのつもり。まさにボランティア」と、木で鼻をくくったようにかわし続けるなど言語道断。国民を愚弄するなと言いたい。自ら現場に指示・命令していることを、せせら笑いながら、それとは真逆なことを、自分たちはやりたい放題にやっていると思われるのは当然だ。

 加えて、週2回勤務で年間1000万円の報酬を支払うということは明らかにおかしい。誰もが気づいていたはずだ。にもかかわらず同省人事課の面々は黙々と文書を作成し、プロセスを回してきた。当たり前な倫理がすっぽり欠落しているのだ。さらに、「天下り」を受け入れた明治安田生命保険側は「報酬は妥当な水準だ」とコメント。世の中全体の倫理観が麻痺している末期的な症状を呈している。