不適切行為を黙認する組織は
解体すべき

 実は、経営者がそのようにリアクションするケースでは、経営者が社員の生の声を把握していないことがほとんどなのだ。

 いわば、経営者が「無知の知」に至っていない証だ。仮に無記名であっても、社員満足度調査に本音を書くと信じているというのは、あまりにもナイーブだ。ましてや役員との面談で本音を言うと思うか、組織に縛られた社員がたとえ無礼講の飲み会であっても経営者に耳障りな進言をすると思うか…いずれも否である。

「マネジメントの遂行レベルを高めるために、社員の声が経営者に届いているかどうかが重要だ」――この文脈で言う「社員の声が経営者に届いているかどうか」という問いは、経営者が社員の声を吸い上げているかどうかは関係ない。他ならぬ社員が、「自分たちの声が経営者に届いているという実感を持っているかどうか」が重要なのだ。社員自身が、社員の声が経営者に届いていると思えば届いているし、社員自身が、社員の声が経営者に届いていないと思えば届いていないのだ。

 今回の事件は、国家公務員法違反も、週2回で年間1000万円の報酬も、そして、教育行政を司る文科省で組織ぐるみで起きたことも問題だ。しかし、それ以上に、実は多くの人間が気づいていたに違いない違法行為や不適切行為に、誰もアラームを発することがなかったという点が、最も深刻な問題であると私には思える。

 これほどのトンデモな行為に対して、誰も声を上げない(上げられない)というのは、もはや組織として末期状態。ここまでくると、組織を維持しながらの軌道修正は不可能だ。衆議院予算委員会で、「文科省を解散するほどの決意をもって出直しをしないといけない」という委員発言があったが、私は文科省を解散せずして、信頼の回復は望めないと思う。