筆者は昨年8月にこの新型プリウスPHV試乗会に先行試乗したが、当時、発売予定は秋から年末までと聞いていた。だが、この2月まで国内発表・発売が延期されたのは、その特徴的なデザインと軽量化、空力特性向上のために採用した、三菱レイヨン製のCFRP部品量産体制のめどをつけるのに時間が掛かったからのようだ。

筆者は昨年8月に新型プリウスPHVに試乗した

 また、試乗時には「これはプリウスとは別物だな」と感じ、その印象を当時の開発チーフエンジニアだった豊島浩二氏に話すと、「実は社内でも車名を変えるか、という議論もしていたんですよ」と返答されたことを思い出す。

 豊島氏は「エコカーは普及してこそ環境への貢献。今回、PHVの位置づけは、HVに次ぐ次世代環境車の柱とするために開発を進めてきたのです」とも語っていた。同氏は、この新型プリウスPHVの市場投入にめどをつけて昨年12月1日に発足した「EV事業企画室」の開発責任者に転進した(第44回「トヨタと日産、真逆のグループ戦略で部品企業の行く末は」を参照)。

新型プリウスPHVの
5つの進化の特徴とは…

 2012年1月に投入された初代プリウスPHVに対し、今回の新型プリウスPHVは「EV走行」「充電システム」「安全技術」「デザイン」「給電機能」の5つの大きな進化が特徴である。デザインでプリウスと大きな差別化を図り、EVモード走行での航続距離を24.6 kmから68.2kmと大幅に伸ばし、最高速度も100kmから135 kmへ、燃費は37.2km/Lを確保した。バッテリー容量25Ahというプリウスの約7倍の大容量リチウムイオン電池を搭載しながら、エントリー価格は326万円に抑えた(ちなみにプリウスは252万円)。

 つまり、新型プリウスPHVは、自宅で充電してEVとして利用でき、長距離でも充電ステーションの所在を気にせずエンジン走行できる。また、安定した外部給電も可能であり、日本市場向けのみに「ソーラー充電システム」も搭載、トヨタ初の11.6インチT-Conect SDナビゲーションシステム標準装備など先進技術も盛り込んだ。より実用的なエコカー(電動主体車)として、トヨタが本腰を入れたクルマなのである。

 昨年11月からは米国で「プリウスプライム」の名称で発売しており、今回の日本に続き欧州にも3月に投入し、今後アジア展開を予定している。

 トヨタが初代プリウスを市場投入したのが1997年12月。当時の奥田トヨタ社長が発売時に「トヨタの環境戦略としてこのHVを赤字覚悟で発売に踏み切った」と語るほどの思い切った決断だった。以来、トヨタはHV戦略でエコカー実用化の主導権を握ってきた。2015年12月に発売した4代目プリウスは、トヨタのクルマづくりを変える「TNGA」の第1弾として登場し、好調な売れ行きを示している。