2月2日、松元ヒロと立川志らくの2人会に行った。事前に読んだ志らくの『立川志らくまくらコレクション』(竹書房文庫)に、こんな一節があった。やしきたかじんが亡くなった時のことである。

灰皿をぶつけた、やしきたかじん

「たかじんさんは、談志とは全くダメでしたね。『たかじんのバー』って言う番組に談志がゲストで呼ばれて、バーカウンターでお酒を飲みながらトークする番組なんです。で、談志がお酒が入って酔っ払って、『(談志の口調)んんん、……下品な番組だね』って、こう言ったら、たかじんさんが怒って、『なにをこらぁ!やるのか!?』って、灰皿を談志にぶつけたという(笑)。で、ウチの師匠は怒って帰っちゃったというね(笑)。

 その話を聞いたとき、まあ、おそらく立川談志に灰皿ぶつけて盾突くと、これはもの凄い伝説になるという、そういった計算の元でやったンでしょうけども、やっぱり先輩に対する尊敬の念みたいなものが無いなぁと、そのときは凄く嫌な話だなぁと思いました」

 私も一度、たかじんの「そこまで言って委員会」という番組に出て厭な思いをしたので、談志の「下品だ」という批判はよくわかる。

 たかじんは橋下徹や安倍晋三の強烈な支援者として知られるが、自民党から参議院議員に出た時も、談志はハト派の宏池会だった。小泉純一郎や安倍の清和会(タカ派)とは肌合いが違うのである。

 談志は石原慎太郎とも親しかったが、考え方まで近かったわけではない。

本人以上にうけてウインク

 談志が高く評価したお笑いの松元ヒロと関わって、こんなエピソードがある。

 談志のいる立川流一門会で、ヒロが慎太郎ネタをやったのである。

「石原慎太郎さん、みなさん知っていますよね。談志師匠の大親友です。あの人ってけっこう差別的な発言をしますよね。中国は嫌いだから『シナ』、北朝鮮は『北』としかいつも言わない。女性にもひどいこと言いましたね。『ババアは有害だ』とか言いました。