──他社同様、主力薬の特許切れを機に、安価な後発薬にシェアを奪われて売上高が激減する“パテントクリフ”に苦しんでいる。
確かに、特許切れに直面している。抗ガン剤「ジェムザール」に続いて、今年の年末には統合失調症治療薬「ジプレキサ」も特許切れを迎える。
しかし、新薬を投入できるので明るい見通しもある。現在、臨床開発段階にある薬が70品目、今年は(最終的な)第三相試験に少なくとも10品目が進む見込みである。
──2011年の総収益は前年の横ばい、ないし微増を見込む。成長路線に戻す戦略の機軸は。
革新的な医薬品を創出することに集中する。基礎研究から患者さんに薬を届けるまでのプロセスを加速させ、より安価にする努力をしてきている。
その一つが、提携戦略だ。(基礎研究や開発などさまざまな分野で組む)最適なパートナー群として「FIPNet(フィプネット)(完全統合型製薬ネットワーク)」を構築してきた。すべてを自社の経営資源で賄おうとせず、より多くのパートナーの得意分野を組み合わせることで、コストダウンも実現できる。創薬のパートナーは研究所や大学、バイオベンチャーなど数百に上る。もちろん日本企業も含まれる。
史上最大規模なのが、1月に発表した独ベーリンガーインゲルハイム(BI)との提携だ。われわれは今後数年で、グローバルに糖尿病薬を4品目投入していく。