犬が4本の足をぴんと伸ばして飛ぶ姿をとらえた「飛行犬」写真。こちらは2016年飛行犬大賞に選ばれた福田ぬぅちゃん(飛行犬撮影所提供)

「飛行犬」をご存じだろうか。まるで空を飛んでいるように見えるわんちゃんの写真で、愛犬家の間でブームとなっているのだ。

 もちろん、本当に犬が空を飛ぶわけではない。全力ダッシュする犬の、4本足がすべて地面から離れ、あたかも空中を飛んでいるように見える一瞬をとらえるのだ。どうやって撮影するのだろうか?

 兵庫県と四国を結ぶ淡路島南部、兵庫県南あわじ市には、「飛行犬」の写真が撮影できる広大なドッグランがある。撮影所を訪ね、ブームの仕掛け人、元祖飛行犬写真家の的場信幸さん(56)に話を聞いた。

「南あわじドッグラン 飛行犬撮影所」は、のどかな田園風景が広がる、山あいの集落の一角にある。周りをフェンスで囲まれた、芝生が張られた約1700平方メートルの広大な撮影所は、週末になると、「愛犬を飛行犬にしてほしい」という飼い主と犬たちでにぎわう。

 的場さんは2005年、旧知のカメラマンで有限会社「淡路デジタル」社長の沼田浩孝さん(56)と撮影所を開設した。現在は撮影所だけでなく、全国各地で開かれる撮影会でも、疾走する犬たちを追いかけている。年間3500~4000頭を撮影、これまでに2万頭以上の飛行犬をカメラに収めてきた。