福袋を手に集まる人たち写真はイメージです Photo:PIXTA

福袋やカプセルトイ、スマホゲームのガチャ、音楽配信アプリの自動プレイリストなど、「選ばないことを楽しむ消費」がブームだ。なぜ、現代人のニーズにマッチするのか?気づきにくいコストが上乗せされてやしないか?ランダム商品の価格のカラクリに迫る。※本稿は、ニッセイ基礎研究所上席研究員の久我尚子『選ばない消費 AI時代の暮らしと価値観』(集英社)の一部を抜粋・編集したものです。

多忙な現代社会でじっくり
「選ぶ」余裕はない

 今、私たちは選択肢にあふれる時代を生きています。数ある中から何かを選ぶことは、かつて考えられていたような自由というよりも、負担になってきているようにも感じられます。

 選ぶという行為には、時間と労力がかかります。何が自分にとって最適かを見極めるためには、情報を集め、比較し、考えるプロセスが必要です。そのプロセス自体を面倒と感じ、誰かに選んで欲しいと思うのは、ごく自然な感情かもしれません。つまり、「人任せにしたい」という気持ちは、主体性をいったん手放したいという感覚と重なっているともいえます。

 昭和の終わりからバブル期を経て、私たちの暮らしは格段に忙しくなりました。経済的な不安や社会構造の変化により、時間と心の余裕がどんどん削られています。かつては、やることがないからゆっくり自分のことを考えよう、と立ち止まる時間があったかもしれませんが、今では物事をゆったりと考えたり、立ち止まって振り返ったりする余地が減ってしまったのではないでしょうか。

 共働き家庭が増え、家事や育児をこなすための時間は常に足りないと感じている人も多いでしょう。独身であっても、業種やライフスタイルによって、長時間労働や副業で時間に追われる人も少なくありません。