こんなエピソードがあります。以前、補佐していた役員(以下、A氏)と接待に同行した時のことです。

A氏:「今日の会食は何時からかな?」

私:「19時からですが…」

A氏:「そうか、それでは、オフィスを17時に出よう。会食の前に行きたいところがある」

私:「かしこまりました。準備いたします。どちらに行かれるのですか?」

A氏:「接待の前にお酒を楽しむ時間を持っておきたいんだ。いつもは一人で行くところが、もうすぐ『秘書の日』でもあるから、どうかと思って…」

私:「お心遣いありがとうございます」

A氏:「ホテルのバーに30分ぐらい居られたらいいと思っている」

私:「承知しました。接待の場でもお酒は十分用意されていると思うのですが…」

A氏:「接待の場では、お酒を『楽しむ』時間はないからね。美味しいお酒であっても、その美味しさを十分味わうことはできると思うかい?」

私:「仕事モードになってしまうので、お酒を『堪能する』のは難しいかもしれませんね」

A氏:「そうだ。接待の場だからこそ、目を光らせておかなければならない。だからお酒を楽しむ余裕はない。相手がお酒を飲んだ時に、どんな行動をとるのか見ておきたいからね。一緒に仕事を進めていける仲間になれるのか、そうでないかを見極めるんだ」

私:「厳しい目でご覧になられているのですね」

A氏:「それがビジネスパーソンの基本だ。秘書も相手からそう見られている可能性が高いから、くれぐれも粗相のないようにね」

私:「かしこまりました」