2010年12月の発売以来、日本でもザッポスおよびトニー・シェイのファンを増殖させている書籍『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説』ですが、数回に渡り、日本のさまざまな層のザッポス伝説ファンの情熱を紹介。ベンチャー、顧客サービス、企業文化、生き方など、同書を多様な視点から読み解いていきます。今回は、ザッポスを手本にがんばる日本の靴メーカー、株式会社ベルの社長 高山雅晴氏に話をうかがいました。

ザッポスと同じ
「靴」で革新を起こす

高山雅晴(たかやま・まさはる)
株式会社ベル代表取締役社長。慶應義塾大学卒業。41歳。2002年に同社を引き継ぎ、2006年よりネット直販を展開。2009年には楽天市場の靴カテゴリーでショップ・オブ・ザ・イヤーに輝く。

 高山氏は、「はきだおれの街」として知られる神戸で、楽天市場の靴カテゴリーでショップ・オブ・ザ・イヤーに選出されるなど、躍進する靴メーカー・ベルの社長。また、多くの中小靴メーカーが集まる神戸の靴産業の新たな展開を模索し、神戸靴工房100選の発起人。なぜ、高山氏はザッポスなのでしょうか。

「アマゾンによる買収のニュースではじめてザッポスの存在を知りました。私がそれまで努力してきた方向性と驚くほど共通していることが分かりましたし、刺激も大いに受けています。たとえば、以前は、自社で配送はタイヘンですから、物流会社に委託していました。ところがザッポス伝説には、大切な業務は外に任せるなと、大失敗の体験談と合わせて書いてある。確かに、細かなサービスや検品など、物流を自分でやることの利点は大きい。そこで、早速自社でやるように転換しました」

 これは貴重な教訓でした。私たちは、自分たちのコア・コンピテンシーを決してアウトソースしてはならないということを学んだのです。オンライン小売企業として、最初から倉庫業務を自分たちの中核として考えるべきでした。それを第三者に委託し、第三者が自分たちと同じように顧客に対応してくれると信じたのは、私たちが犯した最大の過ちのひとつでした。私たちが直ちに動かなかったら、ザッポスを潰しかねなかったのです。(『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説』200ページより))

 日々顧客や競争と向き合う高山氏にとって『ザッポス伝説』は、自らが間違っていなかったと共感すると同時に、自分たちもやらねばと鼓舞される、ダイレクトに響く書だったそうです。