20代で賞を獲ってお金をもらったときは、作りたいものが散漫になっていて、あまり成果が出なかった。でも、30代半ばで、写真の仕事も一通りやって技術を磨いて成熟した後に、支援してもらうことはとても重要でした。これまで作りたい気持ちはすごい強いのに、経済的なことや時間が追いつかず、もんもんとしていた。それが助成によっていっきに解決されるので、ギュッとしたものを作れるんです。テーマは、パイプラインとゴールドラッシュに決めていました。

――アイスランドではアーティストレジデンスに入っていたそうですね?

 アイスランドではレジデンスがとても充実していて、小さい町や村にもあります。滞在費が高いので、アーティストはレジデンスでないと厳しいと思います。自炊もできました。

 泊まっていたのは牧場のサイロのような場所で、全部スタジオみたいなものに改造されていて、その中で自由に活動できるんです。スペースが大きいので、巨大な絵を描いたりすることもできます。アーティストにとっては、スタジオのスペースがとても重要です。レジデンスと美術館が連携しているので、僕は現地の写真美術館が所有していた暗室を借りてました。撮影しては、プリントして、成果を発表するという感じです。

 レジデンスにいると毎月発表する機会があり、普通の市民が見に来てくれます。アイスランドにはミュージシャンが多く、日常に芸術が溶け込んでいる気がします。作品発表する時にはパーティが開催され、現地のアーティストも来てくれて交流があるんです。彼らも、外から来たアーティストの表現を楽しみにしているようです。

アーティストが置かれている状況
日本は恵まれている

――日本でアーティストが置かれている状況は、海外と比較してどうですか?

 日本はけっこう恵まれていると思いますよ。写真家の場合は仕事もけっこうあります。作品を発表する機会もあるし、機材なども恵まれています。欧米のアーティストの方が、もっとハングリーな印象があります。