お客さまと話すときにメモをとっていれば、私が“魔法の言葉”と称して営業マンに推奨しているフレーズを使うことができます。

 それは「確認させてください」です。

 これほど、人に安心感を与える言葉はありません。
 たとえば、ある程度、お客さまの状況を伺ったところで、メモを見ながらこう切り出します。

 「では、お客さまのお話を確認させてください。お子さまは3人で、そのうち男のお子さまが2人ですね……」

 どのようなコミュニケーションであれ、自分の発言が相手にしっかり伝わると、相手に親近感を抱くようになります。それに、基本的に会話の反復ですから、お客さまは「イエス」を繰り返していくはずです。それが続くと、「ノー」と言いにくい気分になります。この積み重ねが、警戒心を解くカギになるのです。

 それに、言葉どおりの“確認”にもなります。これを「すいません、もう一度聞かせてください」などとやると、「人の話を聞いてないのか」という気まずい展開になってしまいます。

 さらに、そのメモをお客さまに見せながら話す、という高等手段もあります。文章の羅列や箇条書きでは見にくいので、線やカコミを駆使して図式化すると効果的です。その上で、図式から線を引いて自社の商品を書き加えることができれば、説得力は一段と増します。お客さまにとって、なぜこの商品が有用なのか、話だけではなく、視覚的に訴えることができるわけです。

 ここで示す図式は、目の前にいるお客さまのためだけにつくった、オリジナルのパンフレットであるともいえます。しかも手書きなので、人間の温かみがあります。印刷物では「ウソくさい」と不審に思ったり、「自分には関係ない」と突っぱねたりするお客さまでも、これを見せられれば関心を持ってくれるはずです。