『情報参謀』(講談社現代新書)と題されたこの本は、われわれ一人ひとりが、情報洪水の中で、いかに情報と付き合い、振る舞うべきかという視点で読むと、多くのヒントを与えてくれる。内容は自民党が大敗して下野した2009年の総選挙から、13年夏の参議院選挙に勝利して完全に政権を奪還するまで4年間に渡り同党の「情報参謀」役を務めた筆者が、その情報分析活動と情報戦略を余すところなく伝えたもの。中身は単にITを駆使した世論分析・世論形成の手法にとどまらない。著者の小口日出彦氏に、本書の狙い、情報洪水時代への対応の仕方について聞いた。(聞き手 経済ジャーナリスト、元ダイヤモンド・オンライン編集長 原英次郎)
政治と国民を繋ぐものは
やはり情報しかない
──われわれメディアに生きる人間にとっては、世論を知り、世論を動かすという意味でも、必読だなという印象を持ちました。
そうですね。新聞、雑誌、テレビ、ネットメディア、広告代理店の人たちに最も受けた書籍になりました。一般の人にも読んでもらいたいので、極めて分かりやすく、かみ砕いて書いているんですけれど、政治とITという組み合わせは、ちょっと遠い世界なのかなという感じです(笑)。
──著書の中には自民党の政治家も実名で出てきますね。自民党の情報戦略を公にするに際して、問題にはなりませんでしたか。