日本でもネット選挙が始まった。候補者がフェイスブックやツイッターを用いて、有権者の支持を得ようとするさまざまな動きが見られるようになるだろう。

 ご存知の通り、こうしたやり方はオバマも大統領選で用いたものだ。ただ、フェイスブックやツイッターの活用が話題になったのは、オバマ大統領がはじめて当選した大統領選、つまり4年以上前の2008年のことだった。

米国の選挙運動は
「ネット活用」から「有権者分析」に移行

 もし、フェイスブックやツイッターを選挙活動に用いるのが「マーケティング的」なインターネットの使い方だとすれば、オバマ大統領が2012年の2回目の大統領選で用いたのは、「データサイエンス(データ科学)的」な方法だった。

 データサイエンス的とは、さまざまなデータ処理の手法を用いて、ひとりひとりの有権者像を詳細にわたって把握し、それをさらに大きなデータに照らし合わせた上で、その有権者の行動を分析したり、予測したりする。近頃よく言われる「ビッグデータ」の領域だ。これがビジネスではなくて、まさに選挙に用いられたのである。

 オバマ陣営は、まずさまざまな方法でデータを集めた。これまでの選挙活動で得られた有権者のデータ、民主党支持者のデータベース、有権者登録記録、データウェアハウスから入手した消費者データなどだ。

 こうしたデータがすでに数値化されたデータである一方で、そうでないデータも集めた。それは、個々の有権者へ電話をかけて長短のインタビューを行い、そこから有権者の志向を計測したデータだ。オバマ陣営は毎週何千人分ものインタビューを行い、そこで得えられた内容をデータベースに加え、刻々とデータの精度を上げていった。