「スプリント」でブルーボトルのオンラインの売上が倍増
金曜日、チームは顧客のインタビューを観察した。ブルーボトルのオンラインストアの3種類のプロトタイプを競合企業のサイトに紛れ込ませ、コーヒー愛好家に1人ずつ順に買い物をしてもらった(顧客にいらぬヒントを与えないよう、それぞれのプロトタイプにはニセの名前をつけた)。
テストを通してパターンがはっきりした。
期待の高かった、木の棚のあるバーチャルストアはどうだったか? 僕らは見栄えのいいものができたと自負していたが、顧客からは「陳腐」「うさんくさい」といった予想外の意見があがった。
もう2つのプロトタイプはずっとウケがよかった。「家ではどうやってコーヒーを淹れていますか?」のデザインは、問題なく機能した。そして意外だったのが、「文字だらけ」のデザインへの反応だ。顧客は説明をすみずみまで読み、詳細な情報を通してブルーボトルのメッセージと専門性を肌で感じとったのだ。
ある顧客は感じ入ったようにつぶやいた。「この連中はコーヒーを知り尽くしている」
ジェームズとブルーボトルのチームは、スプリントによって自信を深めた。オンラインストアのあるべき姿に近づいた。なにより、ブルーボトルのもてなしの精神にふさわしいと感じられる方法で、ものごとを進められた。そして、オンラインストアを通して本物のブルーボトル体験を伝えることができると確信するに至った。
数か月後、ブルーボトルの新しいウェブサイトがオープンすると、オンライン売上高は倍増した。翌年ブルーボトルはコーヒー定期購入サービス会社を買収し、より大きなチームと新しいテクノロジーのもとでウェブストアを拡充し、新しい商品で実験を始めた。
納得できるオンラインストアが一朝一夕で完成しないことはわかっていたが、とにもかくにもスプリントで一歩を踏み出すことができたのだ。