マーケティングリサーチなどを手がけるアイシェア(東京都渋谷区)は、原発事故に関する政府の情報発表について、7割以上の人が「信用できない」と感じているとする調査結果を発表した。

 アンケートは、同社の無料メール転送サービス「CLUB BBQ」の会員(20~40代の男女)1193人を対象にインターネットで集計したもの。調査日は4月15日。男女比:男性52.3%、女性47.7%。年代比:20代8.9%、30代45.7%、40代45.4%。

メルトダウン発表前でも
「すべて信用できる」わずか1%

 アンケートによれば、原発事故に関する政府の情報発表について、「すべて信用できる」と答えたのは全体のわずか1%。「信用できるものが多い」と答えた人も25.1%にとどまり、「信用できないものが多い」(61.5%)、「すべて信用できない」(12.4%)と、「信用できない」と答えた人が7割以上を占めた。

 5月23日には、菅首相が「(政府発表に)国民がかなり不信を持っていることは、責任者として本当に申し訳ない」と陳謝したことが報じられた。震災発生当初から不安視されていたメルトダウンが今月中旬になってから発表されたことを受け、「意図的な情報隠し」を疑う声も少なくない。アンケートが行われたのは4月15日だが、このときよりも現在はさらに国民の不信が高まっている可能性もあるだろう。

情報発表のタイミングは
「遅い」が圧倒的

 また、原発事故に関する政府の情報発表のタイミングについては、「遅い」と答えた人が82%で圧倒的。「ちょうどいい」は16.3%、「早い」はわずか1.8%だった。

 早い段階からメルトダウンを指摘する声もあったのに対し、保安院は否定的な見解を示し続けた。かつてない事態に対して事態把握が困難を極めたにせよ、これまでの見解を翻す発表は「後出し」と言われても仕方がない。

 一部では、パニックを防ぐために情報を遅らせたのではないかと推測する声もある。しかし、政府のコントロールが利かないという意味では、国民の多くが政府を「信じられない」と感じている今の状態も、パニック状態とそう変わらないのではないか。

 ネット上では、「政府の発表は信用できない。最終的に自分の子どもを守るのは自分」という悲痛な親たちの声も散見する。“国民の親”である政府は、どのように子を守ろうとしているのだろう。

(プレスラボ 小川たまか)