誰もが「すごいアイデア」を、「すぐに実行」できる

 このスプリントのすばらしい点は、「やってみて損をしようがない」というところだ。失敗だったとしても「効率的な失敗」だったら収穫はあるし、不完全な成功ならすぐに手直しができる。つまり、アイデアが正しい軌道に乗っているかどうかをたった5日間で学ぶチャンスが得られるのだ。

 しかも、スプリントは、商品開発だけでなく、あらゆる仕事に適用できる。本書ではブルーボトルコーヒーやロボットメーカーのサヴィオークなど、商品開発における豊富な事例を取り上げているが、一読すれば、このメソッドがあらゆる仕事のやり方を根本的に見直すための強力なツールであることが理解できるだろう。

 しかも巻末には、レシピ本のように、スプリントの各ステップの細かいチェックリストがある。スプリントは成功を最大に、失敗を最小にするために、あらゆる角度から検証され、実証されたメソッドなのだ。

 何をすればいいかわからないとき、最初の一歩を踏み出せないとき、大きな決定を下さなければならないとき、スプリントはきっと役に立つ。

 長い会議で時間をムダにするより、現実のユーザーに、そして社会にとって意味のあるものをつくるために力を合わせる。これこそ最高に有意義な時間の使い方ではないだろうか。

 本書の「レシピ通り」にスプリントを行なうだけで、きっとあなたも自分の仕事が「最速」で「最高」の方向に動いていると実感できるだろう。そして今よりもっと仕事を楽しいと思えるようになるはずだ。