グーグルが生んだ究極のスピード仕事術「スプリント」。グーグルでその超合理的なノウハウを生み出した本人自身が、その方法について手取り足取り公開した話題の新刊『SPRINT 最速仕事術』。世界で衝撃をもって迎えられ、23ヵ国で刊行の世界的ベストセラーとなっている。本連載では、仕事を「最速化」し、大きな成果を出し続けるそのメソッドについて、同書の一部を特別公開する。
時間を最大限に活用する合理的な方法
僕の仕事のやり方はうまくいっていなかった。
2003年、僕ら夫婦に初めての子どもが生まれた。職場に戻ったとき、これからは仕事をする時間を、家族と過ごす時間と同じくらい有意義なものにしようと誓った。自分の習慣を厳しく見直してみると、重要な仕事に十分な労力をかけていないのがわかった。
そこで時間を最大限に活用する方法を考え始めた。生産性に関する本を読みあさった。朝と昼休みに運動した場合や、コーヒーと紅茶を飲んだ場合に、仕事のはかどり具合がどうちがうかをスプレッドシートで分析した。ひと月の間に5種類ものやることリストを試した。
そう、へんてこな分析ばかりだ。それでも少しずつ集中力を高め、てきぱき仕事をこなせるようになっていった。
2007年に僕はグーグルに仕事を得たのだが、そこには“プロセスオタク”にもってこいの文化があった。グーグルでは実験が奨励されている。そしてその対象は製品だけでなく、個人やチームで仕事をする手法にもおよぶのだ。
それからというもの、僕はチームプロセスの改善にとりつかれた(わかってる、これもへんてこだ)。初めのころはエンジニアのチームとブレーンストーミングのワークショップをやっていた。参加者が大声でアイデアを叫び合う集団ブレーンストーミングは、とても楽しいものだ。数時間もするとふせんが山と積まれ、ものすごい達成感が得られる。
ところがある日ブレーンストーミングの最中に、一人のエンジニアがみんなをさえぎって爆弾発言をした。
「ブレーンストーミングは本当に効果があるのかい?」
僕は答えにつまった。恥ずかしいことに、参加者がワークショップを楽しんだかどうかを調べるだけで、実際の成果を測定したことはなかったのだ。